縞田理理の《とろいのです》。

本、音楽、映画、オヤツなどについてちょびちょび 書いていきたいな~と。感想はネタバレなしの方針で。

ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド

まだずるずる東京におります……(^^;)

昨日は友達と《ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド》を観て参りました。
良い映画でしたよ~。結合体双生児の兄弟が一年の間にスターダムを駆け登り、そして破滅していく物語。ドキュメンタリーの手法で創られているのでとにかく臨場感が凄い。フィクションなのだと分かっていてもつい釣り込まれてしまいます。

ひとつに繋がった身体で生まれてきたバリーとトム。やがて彼らは二つの美しい顔を持った少年に育ちます。それに目をつけた音楽プロデューサーは彼らを買い、音楽を仕込み、ステージに立たせるのです。しかし、珍奇な歌う双子は周囲の思惑以上の存在でした。彼らは……

彼らは、人間でした。

二人を買ったプロデューサーは、しかしそんなことは期待していなかった。彼らはそれぞれ異なった人間であり、煌めくような才気と繊細な傷つきやすい心を持っていた。彼らは怒れるティーンエイジャーで、鬱屈と熱情と、そしてとてつもない不安を抱えた二人の少年だった。けれど周囲の大人たちにとって彼らはただ金の卵を産む物珍しい鵞鳥に過ぎなかったのです。

無責任なプロデューサーに双子の世話役を任されたニックという男の存在は象徴的です。他人の苦痛に対する無関心、自分をスタンダードと考える人間の狭量さ、不寛容さ、人間性の放棄、暗愚さなどをニックというキャラクターは見事に表現していました。

彼は双子に暴力を振るい、なんの疑いもなく言い放ちます。
「ゾッとするね。フリークスの世話なんざ」「ああいうガキはキツくしつけにゃ」「奴らが舞台でうまくやれたのは俺のおかげだよ」

そして双子が成功への道を歩み始めると今度はこういうのです。
「奴らにはなんていうか人間を魅了する力があったのさ」

この男のいう《魅了》という言葉が魔的な意味を含んでいるのはいうまでもないでしょう。
自分に理解できないものを蔑み、そして彼らが自分を超えると今度は畏れる。人間の暗い面を如実に表した言葉でしょう。もし魔女狩りの時代に生まれていたらこの男は率先してバリーとトムを火刑台へと追いやったに違いありません。

闘うように歌うバリーとトムは大衆の熱狂的な支持をうけ、そして悲劇的な結末へと自らを導いて行く。彼らが闘っていたのは何なのか。運命なのか。世間なのか。常に二人で居ながらどうしようもなく孤独な二人にはあの結末しかなかったのでしょう。


自分と違う者の痛みを理解することの大切さを教えてくれる映画でした。


翻って現実を見ればこの国では少数派を否定することに何らの疑いも持たない人たちが大きな顔をしていることが見えてきますね。ニックのような人間がこの国の中枢にいるわけです。
自分たちの役立たない人間は健全でないと言い放つ為政者を見るに付けこの国の先行きが心配です・・・。

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プロフィール

しまだ

  • Author:しまだ
  • 万年駆け出しのファンタジー小説家。湿った日陰や本棚の隅っこでほそぼそ生きてます。
    ウィングス小説大賞出身。入選作は「霧の日にはラノンが視える」ですが、「裏庭で影がまどろむ昼下がり」が2001年11月10日発売の小説ウィングス秋号に先に掲載されたのでこちらが実質デビュー作。
    好きなものはケルトと妖怪と動物と怪獣。

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