縞田理理の《とろいのです》。

本、音楽、映画、オヤツなどについてちょびちょび 書いていきたいな~と。感想はネタバレなしの方針で。

「シャンブロウ」

「天の光はすべて星」のコメント欄で触れたのでC・L・ムーアの復刊本もご紹介しときましょう。新版のタイトルは「シャンブロウ」ですが、早川文庫の旧版で「大宇宙の魔女」というタイトルで出版されていたものと同じ内容だと思います(連作短編集なので全く同じ短編が収録されているかどうかは分かりませんが)。

シャンブロウ (ダーク・ファンタジー・コレクション 9)シャンブロウ (ダーク・ファンタジー・コレクション 9)
(2008/07)
C.L.ムーア

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「シャンブロウ」はシリーズ中代表作と言える作品タイトル。シリーズ名はノースウェスト・スミス・シリーズ。全作に登場する主人公の名前がノースウェスト・スミスなわけ。舞台は金星、水星、火星などの植民化された太陽系の惑星で、雰囲気は開拓時代の西部に近い。火星はともかく金星に人類が住めるか、なんてことはこの際考えちゃいけません。金星に原住民もいたりするんですが、気にしないように。ちなみに、主人公の唯一の友人であるヤロールは金星人で、「猫のような」と評される性悪美形。ノースウェストはレイガン一丁腰に下げて放浪する太陽系無宿のアウトロー。

で、このノースウェストがどんなヒーローさんかというと……《史上最強のマゾ・ヒーロー》……
毎回毎回毎回、魔性にたぶらかされて危機一髪! のところでなんとか正気を取り戻すかヤロールに助けられるという姫さまヒーロー。いや、ステキなんですよ、この人ストイックでね! でも、いつも太陽系の魔性に目をつけられちゃうのですわv 

このシリーズのテーマはヴァンピリズムだと思います。はっきりと「血」がテーマの作品もありますが、その他の作品もある種の精神的、或いはオド・ヴァンピリズムを描いている。
耽美ですが、甘くはなくて灼けた鉄のような味わいのある連作です。
作者のムーアは女性。この作品が書かれた当時「女の書いたSFなんて」という風潮だったのでファーストネームを隠して発表したそうです。
同時代の作家アンドレ・ノートンも実は女性。中学時代、ムーアとノートンは双璧で好きな作家でした。どちらも女性作家だと知ったのは初読から大分経ってから。言われてみれば女性ならではの視点で描かれているような気がします。
ノースウェスト・スミス・シリーズは男性ファンはシャンブロウに代表される魔性の女たちに、女性ファンはノースウェストとヤロールに着目して読むので男女どちらからも支持されるんですよね。
ムーアにはこの他に《処女戦士ジレル》という女戦士を主人公にした中世ダークファンタジーのシリーズがあり、これはノースウェスト物にちょっぴりリンクしています。そういうことを考えると、ノースウェストとヤロールの棲む太陽系はこの世界の未来ではなく、ジレルのいた世界の未来なのかもしれません。


もしも手に入るならハヤカワの旧版をオススメします。松本零士イラストが素晴らしいです。Amazonの中古では旧版の表紙が出てないんですよねーー

*Comment

 

こちらでは超オヒサです。
「シャンブロウ」!
大好きでした。松本さんの表紙絵で一発買い。中学生の私には刺激の強い良書でした(笑)。でも、たぶん処分しちゃってるなぁ。
  • posted by josan 
  • URL 
  • 2008.09/08 13:36分 
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こんどお店の方に伺いたいです~v-275

「大宇宙の魔女」、初読は中学の図書館だったような……(^_^;) 高校くらいになって自分で買い直したのでまだどこかにあるはず。
私の行っていた中学は区立の新設校で図書館の本の大半が寄付だったらしく、学校の図書館に在ってはならないような本がたくさんありました。
「ソドム百二十日」とか「毛皮を着たヴィーナス」とか「キャンディ」とか「O嬢の物語」とかも…………汗 
  • posted by しまだ 
  • URL 
  • 2008.09/08 18:45分 
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ノース・ウェスト・スミスという名も金星人ヤロールという響きも覚えているのに、肝心の小説が思い出せませんー(T_T)
絶対に読んでいるのにー。
女性(魔女)の長髪に絡めとられているイラストって、このシリーズじゃなかったかなぁ。
うーん……。
  • posted by ぽぽろん 
  • URL 
  • 2008.09/09 00:06分 
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ぽぽろんさんと同じだ~。 

あ、あれかあ、絵が松本零士だった! うんうん、ノース・ウェスト・スミスとヤロールだよね! アンドレ・ノートンも読んでた。女性だとも知ってたなあ。
たぶん、学校の図書館で借りて読んだのだろうなあ、覚えてない。ぜんぜん内容が思い出せませぬ。自分で買ってたなら、あの頃買った早川の文庫本は一切処分していないので、ウチにあるはずなのに、ないから……。
あ~、どっかで他の何かを「記憶」した時に、なくしちゃったんだろうなあ……。(涙)
  • posted by 不可猫暇人 
  • URL 
  • 2008.09/09 00:25分 
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>ぽぽろんさん
 ノースウェスト、搦め捕られてます! いつものことなのでどの話かはっきりしないけど、たぶんイラストで描かれてたのはシャンブロウじゃないかな~~(^^;)

>不可猫さん
 耽美で雰囲気先行なのでストーリーはあまり印象に残らないかも……(^^;) あんなにヤられっぱなしのヒーローも珍しいですよ……

ノートンは「魔法世界エストカープ」シリーズがオススメ。それから「猫と狐とアライグマ」。これはSFで読み切り。タイトル通り、猫と狐とアライグマが出ずっぱりです!
  • posted by しまだ 
  • URL 
  • 2008.09/09 01:35分 
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わお 

似たようなコメントで申し訳ないけど、
姉が持っていたのですよ。
松本零次の表紙に惹かれて読んでみたのだけれど、
小学生だった当時では意味がほとんどわかりませんでした。
もう少したってから読み直して、ようやくわかったという(笑)

イラストの件、
多分髪の毛に絡め取られているのはシャンブロウにだったと記憶していますよ。
  • posted by てら 
  • URL 
  • 2008.09/09 07:52分 
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小学生には刺激が強過ぎるかと……(^^;)

髪の毛はシャンブロウでしょうね~~(髪の毛じゃないけど!)
  • posted by しまだ 
  • URL 
  • 2008.09/09 11:31分 
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暇人さ~ん! 

仲間がいて心強いですう~(笑)
私の脳みその容量って、こんなに少なかったのね…しくしく。
だけど、中学の時に買って中3の引越しの時に処分したということは思い出せました。
こうして断片的に思い出していけば、いつかきっと全貌が!
…と思ってもむなしいので、もう一度読み直しま~す。

  • posted by ぽぽろん 
  • URL 
  • 2008.09/09 12:05分 
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ジョリーのジレルだったっけ 

色付きの文字

ムーアが生んだヒロインと、ノースウェスト・スミスが共演している話がありましたよね。
「地球の緑の丘」って、ここから生まれたんだっけ?
  • posted by 匍匐仮面 
  • URL 
  • 2008.09/09 13:14分 
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「地球の緑の丘」! 懐かしいですね~~~e-263

あまりに端的で美しいイメージなので既にSFの共有財産と化してますが、初出はムーアなんですね~~。

共演は一応タイムスリップものですよね。「暗黒界の妖精」か「異次元の女王」収録?
ジレルがヤロールに「背を伸ばしてやろうか(拷問台で)」と言うのが印象的でしたよ……(^.^;) ヤロール、美形だけど背が低いんですよね……;
  • posted by しまだ 
  • URL 
  • 2008.09/09 14:29分 
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ノートンは三冊、今もあることが判明しました。 

>アンドレ・ノートンは、今も三冊、持ってました……。
いや、持ってても内容はあんまり覚えてないんですけど。。。
「太陽のの女王号シリーズ2・恐怖の疫病宇宙船」
「ゼロ・ストーン」、
「スター・ゲイト」の三冊がありました~。

「恐怖の~」なんて、昭和55年……。中学生になったばっかりで買ってたんだなあ。
たぶん、1.は学校の図書館で読んだんだと思います。
後の二冊は昭和61年でした。。。

暇があったら読み直そうっと。
なつかしい本がまだ手元にあったことが分かって、うれしいです。
  • posted by 不可猫暇人 
  • URL 
  • 2008.09/10 00:26分 
  • [Edit]

 

「太陽の女王号」シリーズ、懐かしいです~~(^_^) これもどこかにあるはず……だけど探せないかも……汗

「スター・ゲイト」は未読です。映画とは関係ないんですよね~
  • posted by しまだ 
  • URL 
  • 2008.09/10 19:22分 
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プロフィール

しまだ

  • Author:しまだ
  • 万年駆け出しのファンタジー小説家。湿った日陰や本棚の隅っこでほそぼそ生きてます。
    ウィングス小説大賞出身。入選作は「霧の日にはラノンが視える」ですが、「裏庭で影がまどろむ昼下がり」が2001年11月10日発売の小説ウィングス秋号に先に掲載されたのでこちらが実質デビュー作。
    好きなものはケルトと妖怪と動物と怪獣。

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