縞田理理の《とろいのです》。

本、音楽、映画、オヤツなどについてちょびちょび 書いていきたいな~と。感想はネタバレなしの方針で。

《ぼくはこわくない》

BSジャパンでイタリア映画《ぼくはこわくない》をやっていたのでつい見てしまいました。公開時見そびれていたもの。
これはサスペンスというものの核心が描かれた映画だと思います。スパイや銃やミサイルや戦闘機が出てこなくてもサスペンスが成立することを証明する、お手本のような映画でした。全編にひりひりするようなサスペンスが漲っています。

イタリアン・リアリズムって言うんでしょうか。とにかく痛い。少年の孤立が。そして映像の美しさ。南イタリア。黄金に波打つ麦畑、澄み切った青い空。その青い空の下で展開されるミケーレ少年のたった一人の戦い。
彼は知ってしまうのです。家族が誘拐犯だということを。
捕らえられた少年を助けたい、家族を人殺しにしたくない、そんな彼の思いを受け止める人間は誰もいません。大人たちは彼をちらりと眼の端に眺めるだけ。母は彼を愛してはいるものの、何の力もありません。彼には何もないのです。力も、知識も、味方も。信じていた友達すら彼を裏切る。彼にあるのはオンボロの自転車と小さな勇気だけ。

映画の中では無関心という名の冷酷が繰り返し描かれます。
貧しさに同情や想像力や良心を削り取られたような無慈悲な大人たち。やがては彼らと同じになるだろうと思われる子供たち。母はミケーレに約束させます。「大人になったらこの村を出ていくように」と。

暑苦しく澱んだ村の空気を見通すミケーレ少年の曇りのない眼が印象的でした。良い映画でした。

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しまだ

  • Author:しまだ
  • 万年駆け出しのファンタジー小説家。湿った日陰や本棚の隅っこでほそぼそ生きてます。
    ウィングス小説大賞出身。入選作は「霧の日にはラノンが視える」ですが、「裏庭で影がまどろむ昼下がり」が2001年11月10日発売の小説ウィングス秋号に先に掲載されたのでこちらが実質デビュー作。
    好きなものはケルトと妖怪と動物と怪獣。

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