縞田理理の《とろいのです》。

本、音楽、映画、オヤツなどについてちょびちょび 書いていきたいな~と。感想はネタバレなしの方針で。

ネット書評とネタバレ。

ネットとネタバレ。
「まいじゃー分室」で見つけた話題です↓
http://d.hatena.ne.jp/tonbo/20051222

ネットにおける書評・感想とネタバレについてで、既にあちこちでいろんな意見が交わされているようなので今更なのですが、書き手として、あるいは読み手としての両方の立場からちょっと考えてみました。

まず、書き手としてですが、私にとってはネット書評はありがたい存在です。その存在すら知られないケシ粒作家としては。本の内容以前に、まず存在することを知ってもらわなけばスタート台にすら立てないのです。出版側で宣伝も販促もしていませんし、刷り数は少ないですから書店で手にとって……は無理。ネット書店でも、無名の新人の本をいきなり買おうという剛胆なお客さんは数少ないでしょう。
ですから、私の場合ネットが唯一人目に触れるメディアなのです。

次に読み手としてですが、これもありがたいです。なにしろ出版される本の数が多すぎ、一人ではとうていチェックできません。いままで手を出していなかったジャンル、知らなかった作家さんの本を思いもかけずに知ることもあります。書評サイトで知らなければ一生読まずに終わった本で楽しませてもらったこともあります。なにより私は書評サイトさんを回っていろんな本の感想を読むのが好きなのです。自分では気づかなかったものの見方、感じ方に触れられるからです。同じ本を読んで、「あ、こんな読み方も出来るんだ!」というのも楽しい。既知の作家さんの本しか買うことが出来なかったら、こんな寂しいことはないではないですか。
事前の情報が少ないほど楽しめる、というご意見もあるようですが、《存在する》という情報がなければ知りようがありません。好きになれるかもしれない本がこの世のどこかに存在するのに、それを知らずに一生知らずに過ごすなんて、不幸せなことではないですか。読者さんも、読まれない本も。

そういえば学校を出たてのころ、本好きの友人と「面白かった?」「次貸して!」「○○がステキだった!」などとやっていたことを思い出します。互いに5.6冊はバッグに忍ばせていて会えば感想会と交換会でした。だから皆カバンが大きかった……(^^ゞ
今はもうカバンを本で膨らませて友達と会うことはありませんが、私にとって書評サイトさんはその替わりの役割を果たしてくれているのです。

さて、ここまではネット書評のよい点について上げましたが問題なこともあります。やり玉に挙がっている《ネタバレ》です。
何を持って《ネタバレ》とするかは人それぞれだと思いますが、ミステリーでは一番問題が大きいですね。誰が犯人か。誰が死ぬか。恋愛がメインの話では誰と誰が恋愛を成就するか、など。これらを書くことは明らかに公序良俗に反する行為で、『ネタバレがあります』と警告しても書くべきではないと思います。

こういった物語の根幹に関わらないネタについては――あくまで私の感じ方ですが――ある程度書いてあっても良いのではと思います。というか、知りたいです。例えばその物語が恋愛メインなのか、SFなのか、ミステリーなのか、ファンタジーなのか。かつてはレーベルである程度推測できました。でも、ことライトノベルに関してはそのすべてが入っているのですから購入前に知ることは難しいわけです。素材やテーマについてもある程度の情報があれば本を選ぶ手助けになります。好きな素材を扱っていれば初顔の作家さんの作品でも手が伸びるでしょう。(私は妖怪とか妖精という単語に敏感に反応するため、『昭和の妖怪』をタイトル買いしそうになってしまったことが……昭和の政治家についての本でした……^_^;) 

問題は、人目に触れる場所に物語の核に関わるネタバレを書いてしまうことです。これは『感想』ではなく『あらすじ』を書いてしまうことに問題の根があるように思います。『あらすじ』ではなく『感想』を。『感想』が書きにくいなら『印象』でも構いません。その本を読んで、どんな印象を受けたか。どんな感情を抱いたか。楽しくなった、心が温かくなった、悲しかった、可笑しかった、無常感に包まれた……これならネタバレは起きません。まだ本を読んでいない方には関心を抱かせ、読んだ方とはその気持ちを分かち合えると思うのです。本は読まれた時に初めて完成するもの。読んだ読者さんの数だけ物語があって良いのです。

さて。《ネタバレ》以外に書き手としてはネットに書いて欲しくないことがあります。それは「つまらない」「駄作」「買って損した」などの断定的な言葉です。万人が面白いと思う本など存在しません。あなたにとってつまらなくても、他の誰かにとっては面白いかもしれません。断定的な否定はネタバレ同様にその本を楽しめたかもしれない誰かの楽しみを奪うことになります。たとえ自分が楽しめなくても「この本は私には合わなかった」とか「好みではなかった」と書いてあるサイトさんは良心的だと思います。
それに……作家というのはとても弱い生き物なのです。それは、もう想像以上に。「妖精なんかいない」と誰かが言うたびに妖精が消えるように、誰かが「駄作!」と言うたびにどこかで作家がばったり倒れているのです。次の作品が書けなくなるかもしれません。それはお互いにとって不幸なことです。ですから、つまらないと思ったら静かにスルーするか、ただ「合わなかった」と書いてくれると嬉しいのです。

最後に。これは個人的な話なのですが、デビュー前、私は体を壊して家から出られなかった時期が数年に渡ってあり、その間に出版された本についてはほとんど読み落としています。物理的に書店に行けなかったのです。ネットもやっていませんでしたから、何が出版されているかも知りようがありませんでした。ネット書店も知りませんでした。今からでは手に入らない本も多く、当時ネット書評やネット書店があったらなあ……と思わずにはいられないのです。

*Comment

難しいですねー 

 これ、わたしも気になってました。
 最初に問題提起をなさったかたが、ちょっと筆がすべり過ぎて、書かなくていいところまで書いてしまわれたように思います。

「ネタバレの書評/感想は困るので、できれば遠慮してくれると嬉しい」

 という程度にとどめておけば、ほとんどの人が納得したと思うのです。
 感想は先入観に通じるから云々というところまで「ネタバレ」問題を敷衍してしまうと、たしかにそういう考えかたもあるでしょうけど、それは行き過ぎというものでしょう。
 本を手に取るためには、ある程度の情報というものが必要で、それを「どこまで許容するか」の問題はたしかに難しいことではあると思いますが。

 不穏当な書きかたをしたからこそ、これだけ広まったともいえるのですけど……。
  • posted by うさぎ屋 
  • URL 
  • 2005.12/24 17:11分 
  • [Edit]

ホントに難しいですね~ 

ネタバレに関してはつまるところ良識の問題だと思うのですよ。でも、若い方にはネタバレラインの線引きが難しいかもしれません。自分が面白かったものを他の人にも知ってもらいたい、というのはすごく解りますよね。自分が好きなものを紹介したいのは本読みの本能みたいなものですから。それで思わず本の内容を説明してしまうのでしょうね。
初めからネガティブ・キャンペーンが目的の場合はまた話が別ですが、これは少数派ではないでしょうか。

私が悩むのは自著のネタバレです。どれくらい情報を出すことが適切なのか、自分の本でも難しいです。全く情報を出さなければ買って貰う確率も限りなくゼロに近いですから。雑誌先行なので雑誌派と文庫派の時間差もあります。
映画の予告編みたいな出し方が出来ればいいな~と思いますが。映画の予告編って、思わず「見たい!」と思ってしまいませんか? 私は予告編見るとその映画を見たくなっちゃうんですよ~。

まあ、そういうわけで送り手としても読み手としてもネット書評は有益だと思うのですよ。
うさぎ屋さんのレビュー、いつも楽しみにさせて頂いております。お陰で買う本が増えてしまうのが困るのですが……(^_^;)
  • posted by しまだ 
  • URL 
  • 2005.12/24 19:34分 
  • [Edit]

増やします増やします 

 なるほどー。雑誌から単行本へのタイムラグがあると、大変なんですね。
 わたしも雑誌掲載ぶんが本にまとまった経験が一回だけあるのですが、そのころはまだパソコン通信がせいぜいという時代だったので、そういう悩みには思い至りませんでした。

 映画の予告編は、本編を見たときに、「えーっ、詐欺だー! 期待する話じゃなーい!」と思うことが、たまにあります(正直に告白)。
 わたしは、ライトノベルのカラー口絵は、まさしく「映画の予告編」の役割を担っていると思うんですけど、あれもたまに「こ、これはネタバレなんじゃないですか?」っていうの、あるような気がします。とっさに、具体的にどの本が、とはタイトルが出てこないんですけど……。

 本の感想も、自分が書いた感想がきっかけで買ってみてくれた、読んでくれた、という報告は励みになりまする。
 これからも縞田さんの蔵書を増やすべく、頑張って参ります。
  • posted by うさぎ屋 
  • URL 
  • 2005.12/25 01:54分 
  • [Edit]

予告編。 

それは、ありますね……(^_^;) >詐欺
それだけ「美味しそう」に作ってあるんですよね、映画の予告編って。
予告が狙いすぎて外していることもありますが。「大向こう」向けの映画じゃないのに「大向こう」を狙った予告をやって本来の客層にそっぽをむかれるとか。これは結構不幸です。輸入フィルムのチラシやポスターの仕事している友人がいるので、その辺の事情とか耳に入ってくるんです。
私は総制作費○○億円! と謳っているものは取り敢えず用心してかかります……(^^ゞ

>蔵書
本って、ほんとに置き場に困りますね~。ウチは相方が私の15倍くらい紙モノを持っているので非難される心配はないのですが……。床が心配です。
  • posted by しまだ 
  • URL 
  • 2005.12/25 12:45分 
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プロフィール

しまだ

  • Author:しまだ
  • 万年駆け出しのファンタジー小説家。湿った日陰や本棚の隅っこでほそぼそ生きてます。
    ウィングス小説大賞出身。入選作は「霧の日にはラノンが視える」ですが、「裏庭で影がまどろむ昼下がり」が2001年11月10日発売の小説ウィングス秋号に先に掲載されたのでこちらが実質デビュー作。
    好きなものはケルトと妖怪と動物と怪獣。

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