縞田理理の《とろいのです》。

本、音楽、映画、オヤツなどについてちょびちょび 書いていきたいな~と。感想はネタバレなしの方針で。

《キャメロット最後の守護者》

アーサー王つながりで《キャメロット最後の守護者》を。デビュー作《騎士が来た!》を含む初期から後期までのロジャー・ゼラズニイ作品から選り抜かれた中短編集です。《光の王》などの長編も好きなのですが、ゼラズニイらしい切れ味の良さが最も輝くのは中編だと思います。

この作品集には珍しくゼラズニイ本人による長い前書きがあります。この前書きで自身の創作に関するスタンス、および作家になるまでのいきさつが述べられています。天才肌に見えるゼラズニイにも苦労した修行時代、うまく書けない時代があったのです。彼はどうやって「上手く書けない」自分を克服したか。その切っ掛けはボツになった全作品を読み返したこと、だそうです。これはSF、ファンタジーを書こうとしている人、小説家を目指している人には特にオススメします。

表題作《キャメロット最後の守護者》は文字通り最後の一人になっても生き続け、聖杯を求め続けたランスロットの物語。恐らく100枚以下の短い作品ですが、凝縮されたイメージ、物語性は素晴らしく壮大で美しいのです。聖杯テーマですが、ファンタジーというよりはややSFよりの作品。
《フロストとベータ》は人類滅亡後の遠未来、機械たちによる哀しい物語。好きなラブストーリーのベスト5に入ります(人間ほとんど出ませんが)。
それから、この作品集にはゼラズニイには珍しい吸血鬼ものが入っています。《吸血機伝説》(←誤字ではありません)がそれ。やはり人類滅亡後の未来、ただひとり生き残った吸血鬼フリッツと、ラインのミスで生まれてしまったヴァンパイア・ロボットの切ない物語。ごく短い掌編ですが、ゼラズニイらしいアイロニーに満ちた作品です。(ゼラズニイ作品で吸血鬼というと《ディルヴィシュ》シリーズに女ヴァンパイアのエピソードがありますが、単なるゲストキャラでお色気担当という感じなので)

ここに収録されている初期の短編は難解で抜き身の剣みたいにとんがっていますが、それらを含めてゼラズニイの軌跡が辿れる貴重な作品集です。これがいま入手困難本になっているのはまことに残念なことで、《伝道の書に捧げる薔薇》ともども復刊して欲しいものです。《光の王》が復刊されたのでそのうち出るのでは、と期待しているのですが……。待てない方は図書館にリクエストして是非どうぞ。

キャメロット最後の守護者 / ロジャー・ゼラズニイ

*Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

Menu

クリック募金

Jword東日本大震災クリック募金

JWordクリック募金

みちのく未来基金

プロフィール

しまだ

  • Author:しまだ
  • 万年駆け出しのファンタジー小説家。湿った日陰や本棚の隅っこでほそぼそ生きてます。
    ウィングス小説大賞出身。入選作は「霧の日にはラノンが視える」ですが、「裏庭で影がまどろむ昼下がり」が2001年11月10日発売の小説ウィングス秋号に先に掲載されたのでこちらが実質デビュー作。
    好きなものはケルトと妖怪と動物と怪獣。

公式サイト 

新・よこしまです。

Google+



in English/英語版

最近の記事

被災地にスープを

1クリックで被災地にスープ1缶が届けられます。

キャンベル I can project

ユニリーバ東日本大震災募金

東日本大震災復興支援クリック募金

日別アーカイブ

ウィングス文庫

QRコード

QR