縞田理理の《とろいのです》。

本、音楽、映画、オヤツなどについてちょびちょび 書いていきたいな~と。感想はネタバレなしの方針で。

ロリーナ・マッケニット雑感。

先日ロリーナ・マッケニットの新譜An Ancient Museを買いました。それを聴きながらつらつら思うのは、ロリーナというアーティストの複雑さです。

「ロリーナ・マッケニットってどんな歌手?」と聞かれて一言で答えるのは難しい。
たとえば、メイヴなら「クリスタルヴォイスの歌い手」だし、メアリー・ブラックなら「アイルランド一の民謡歌手」ですよね。でも、ロリーナは違う。もっと独特なのです。
ケルトか? と云えばそうであってそうでない。ロリーナはカナダ人です。でもケルトの血を引き(容姿も赤毛で妖精女王のよう)、ケルト民謡も歌う。でもそれだけじゃない。オリジナルの曲も多いのです。ポップスやロックではありませんが所謂ヒーリング系とも違います。ロリーナの曲にはもっと強い主張があるのです。

そして彼女の素晴らしい声。特に高音の冴えが際立つのですが、これも「クリスタルヴォイス」や「天使の声」とは明らかに違うのです。「クリスタルヴォイス」の高音は人間の声の最も純な部分。言い換えれば高音以外の要素を夾雑物としてして捨て去ったものです。でも、ロリーナの高音域の歌声は何も捨て去っていない。空高くに昇るためには普通は捨ててしまう「土」や「水」や「草木」の要素を抱いたまま天の高みにまで昇りつめたような、そんな声なのです。ピュアではありません。天使の声でもありません。でも、素晴らしく力強いのです。そんな彼女だから、もちろん低音の響きの深さは云うまでもない素晴らしさです。

An Ancient Muse は9年ぶりのアルバムということもあり、今までのアルバムの中でもっとも独自性の強いものでした。古いケルトの地を旅立ち、歌で世界を経巡るような、そんな構成になっています。旅の先々で出逢うのは彼の地の女神たち。荘厳であり、匂い立つようにエキゾチックです。初期のアルバム「エレメンタル」や「The Visit」では強かったトラッド色はかなり薄れています。女神はそれだけ遠くまで旅したのです。

ところでロリーナをはじめて聴かれるのでしたら「The Visit」がオススメです。トラッドとオリジナルがちょうどよく入っていますので。それから、いまどこにも在庫がないのですがクリスマスキャロル集の「A Winter Garden」もオススメです。日本ではあまり馴染みのないキャロルが入っています。(アイチューンズ・ストアでなら買えます)。それから私が好きなのは「Book of Secrets」収録の「The Highwayman」。ハイウェイマンとは追いはぎの意味で、これは許されない愛の物語なのです。10分に及ぶ大曲ですが、短編映画のようにドラマチックです。月の光、馬を駆る男、黒髪の美しい娘、王の軍隊、銃声、血……。囁くようなロリーナの歌声が紡ぎ出す情景は目を閉じれば鮮やかに脳裏に浮かびます。古代ケルト世界において吟遊詩人は王をもしのぐ力を持っていたと云われますが、ロリーナはその「歌の力」を現代に伝えるものなのかも知れません……。

*Comment

すばらしい紹介文に拍手 

よい紹介をありがとうございます。拍手です。

ロリーナ・・・最初はアンビョルグ・リーエンが最新アルバムに参加したと聞いたことから興味を持ち、とりあえず1枚聴いてみました。一聴、「あ、この声苦手かな」でした。それが、「マスクアンドミラー」。映像で見た「ボニースワン」もあまりにTwo Sistersとかけ離れたイメージで、非常にためらいがありました。

しかし、しかしです。何度か聴きこむ内に、その苦手だったはずの声に魅せられていく自分がいるんですねぇ。まるでエルフの女王に連れて行かれる詩人トマスのような心境。
しまださんの言うとおり、彼女の声は四大元素をすべて包み込んだような懐の深い高貴さを持っています。

ということで、今ではすっかり惚れ込んでしまいました。
と言いつつ、まだCDは4枚しか持ってません。ミュージックプラントで品切れが続いていてずっと待ってますが、そろそろ痺れを切らしそうです^^;。

「The Highwayman」 と言えば、この前行った生山早弥香&アンディ・アーヴァインのライブでも演奏されました。ロリーナの曲だと紹介された上で、アンディが熱唱。なかなか聴き応えありました。
  • posted by josan 
  • URL 
  • 2007.01/07 01:37分 
  • [Edit]

ロリーナの魅力。 

ロリーナの魅力は清濁合わせ飲む力強さにあるのではないかと思うのです。精霊というより地精のイメージで。
Highway man、名曲なので他の人の歌も聴いてみたいですね~。原詩はアルフレッド・ノイという詩人による叙事詩だそうです。
  • posted by しまだ 
  • URL 
  • 2007.01/07 11:29分 
  • [Edit]

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プロフィール

しまだ

  • Author:しまだ
  • 万年駆け出しのファンタジー小説家。湿った日陰や本棚の隅っこでほそぼそ生きてます。
    ウィングス小説大賞出身。入選作は「霧の日にはラノンが視える」ですが、「裏庭で影がまどろむ昼下がり」が2001年11月10日発売の小説ウィングス秋号に先に掲載されたのでこちらが実質デビュー作。
    好きなものはケルトと妖怪と動物と怪獣。

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